6月は高温多湿で、食中毒が最も発生しやすい時期です。
食中毒というと、レストランや学校給食などで
発生するものと思いがちですが、
その危険度は家庭の中でも同じです。
いえ、それ以上かもしれません。
菌やウイルスは目に見えないので油断してしまいますが、
明日が大事な仕事、あるいは楽しみにしていたレジャーという日に
食中毒になってしまったらどうしようもありませんよね。
それで今回はキッチンに侵入しやすい菌と
食中毒を予防するポイントについてお伝えします。
キッチンにはどんな菌が侵入するのか?
それではまず、食中毒を起こす菌やウイルスには
どんなものがあるのかを見ていきましょう。
①腸管出血性大腸菌(O157やO111など)
O157やO111が有名ですが、
牛や豚などの家畜の腸に潜んでいる大腸菌で毒性が強く、
激しい腹痛や水のような下痢を引き起こします。
時には下痢便に血が混じることもあり、
重症化すると非常に危険です。
②カンピロバクター
牛や豚、鶏などの家畜、それから犬や猫などの腸の中にいます。
この菌がついた生肉や加熱不十分な肉を食べると、
吐き気や腹痛、水のような下痢の症状になります。
発熱や頭痛がみられることもあります。
③サルモネラ
人や家畜、ペットの腸内または河川や下水など
広い範囲に生息しています。
食べ物からだけでなく、人の手やペット、ハエ、ゴキブリなどによる
二次感染にも注意が必要です。
感染すると激しい胃腸炎やおう吐、下痢などの症状が現れます。
しかし熱に弱く、75℃で1分以上加熱すると死滅します。
④腸炎ビブリオ
海水に生息し、20℃以上で増殖します。
そのため、暖かい季節に魚介類を食べる時には注意が必要です。
感染すると、激しい腹痛や下痢、嘔吐、発熱などの症状が出ます。
塩分を好み、真水では生きられないので
魚介類は水道水で洗浄しましょう。
これも75℃で1分以上加熱すると死滅します。
⑤黄色ブドウ球菌
人や動物の粘膜や傷口に存在し、
健康な人でも多くの人が菌を持っています。
菌そのものは熱に弱いのですが、
増殖する時に100℃でも壊れない毒素を作ります。
手の傷口から食品に菌が付くと
激しい腹痛、下痢などの食中毒の症状が現れます。
手に傷がある時は調理をしないか、ビニール手袋でカバーしましょう。
⑥ノロウイルス
ノロウイルスは手や食品を通して
口から体内に入り腸の中で増殖します。
感染力が非常に強く少量のウイルスからでも感染します。
しかも熱や乾燥に強く、長期間に渡って生存します。
ノロウイルスによる食中毒は冬が最も多いのですが、
一年を通して発生するので油断はできません。
食中毒を起こさないためのポイントは?
①買い物は手早く効率的に
食材の買い物に行く時は、
何を買うのかを事前にチェックし
効率的に行いましょう。
まず野菜そして加工食品をかごに入れ、
生鮮食品や冷凍食品を買うのは最後にしましょう。
お肉や冷凍食品をかごに入れた後に
ぶらぶらと店内を回ったりすると
温度が上がり、菌が増殖してしまいます。
また急いでいても消費期限のチェックは忘れずに行ってください。
生鮮食品は一つ一つビニール袋に入れ、
汁が他に移るのを防ぎましょう。
生鮮食品や冷凍食品を買う時はクーラーボックスを持参し、
買い物が済んだら速やかに帰宅しましょう。
②冷蔵庫を過信しない。
要冷蔵、要冷凍のものは帰宅後すぐに冷蔵庫に入れましょう。
生の肉や魚にはカンピロバクターや腸炎ビブリオ菌などが
付いていることがあります。
お店でかけてあるラップだけだと汁がもれることがありますので、
必ず一つ一つのものをビニール袋に入れて保管しましょう。
また冷蔵庫の中は詰めすぎないようにしましょう。
詰めすぎると電力も消費しますが、菌が他に移る心配があります。
多くの菌は低温で増殖が遅くなり、マイナス15℃で停止しますが、
菌がなくなった訳ではありません。
冷蔵庫を過信するのは危険です。
生ものを冷蔵庫から出したら
消費期限だけでなく、その状態をチェックしましょう。
③調理中もこまめに手を洗いましょう
調理の前にしっかり手を洗うのはもちろんのことですが、
調理中にもこまめに手を洗いましょう。
特に生鮮食品に触った後は注意が必要です。
それから洗った手をつい台ふきやふきんで拭くなどはもってのほかです。
キッチンのタオルもこまめに取り替えましょう。
④生鮮食品専用のまな板を用意しましょう。
まな板にはたくさんの小さな切り傷が付いています。
キレイに洗ったつもりでも、
菌が繁殖するにはとてもいい環境なのです。
生の肉や魚を切るまな板と生野菜を切るまな板が同じなのは非常に危険です。
必ず別にしましょう。
まな板を使う時はまず水で流します。
使い終わったらすぐに洗剤で洗い、乾かしましょう。
肉や魚を切ったまな板をすぐにお湯で洗うと
脂が固まり、まな板の傷口に入り込むことがありますので、
まずは洗剤を使い流水でしっかり洗った後、
お湯で消毒しましょう。
⑤スポンジやふきんは常に清潔にしましょう。
濡れたままのスポンジを放置しておくと
菌が増殖して大変危険です。
皿洗いが終わったら洗剤で洗い、
しっかり乾燥させてください。
ふきんも使い終わったら必ず洗剤で洗い、
日光があたるところに干しましょう。
また、水道の蛇口も大変です。
皿洗いの最後にスポンジできれいに洗い、
水気を拭き取っておきましょう。
⑥まな板やふきんは定期的に除菌を
まな板やふきんなどは週に一度くらい、除菌を行いましょう。
但し、キッチンハイターなどの塩素系漂白剤は
次亜塩素酸ナトリウムを含んでおり、
多用するのは別の意味で体によくありません。
今は、抗菌効果のあるグレープフルーツ種子エキスなどからできている
アルコール除菌スプレーがいろいろと発売されていますので、
普段の除菌にはこちらをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
菌やウイルスは肉眼では見えない小さなものですが、
私たちの日常を脅かす怖いものです。
政府公報オンラインにも
「食中毒を防ぐ3つの原則・6つのポイント」という記事が載っていますので、
そちらも参考にされてください。
食中毒予防の3原則とは、
細菌を「つけない!」「増やさない!」「やっつける!」です。
普段料理をする人もそうでない人も
食中毒予防を意識して、6月を乗り切りましょう。
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